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集合住宅の駐車場料金の値上げを法律は規制できないのか――独占禁止法の観点から
Mon Nov 23 12:50:00 CST 2015 発表者:华诚小編

集合住宅の駐車場料金の値上げを法律は規制できないのか――独占禁止法の観点から

銭 軍亮

 国家発展改革委員会は2015年から一部の商品とサービスの政府定価及び政府指導価格をさらに自由化し、そして市場調整価格を実施するが、その中に集合住宅の駐車場料金も含まれている。この徴収定価政策が準備されてから、これらのサービスは人民の生活と密接に関わるものであり、価格を自由化すると、個々の経営者が法外な料金を請求することになる事が心配されてきた。これに対して、発展改革委員会の責任者は、委員会における事中と事後の監視管理の強化に3つの具体的措置を明らかにした。第一に、経営者に厳格な正価表示制度を確定させる。優位的地位を利用したサービスの強要と徴収の強要をしてはならない。値札以外で表示されていないいかなる費用も徴収してはならない。第二に、業界主管部門は本業界関連経営主体のサービス行為に対する監視管理を強化し、業界参入と退出システムを完備させる。第三に、各クラスの価格主管部門は法に基づいて関連服装市場の価格行為に対する監視管理を強化し、談合値上げ、価格詐欺など不正な価格行為を断固取り締まる事を要求する。発展改革委員会のこの責任者は価格の公開透明化と価格詐欺をしてはならないことを強く強調した。

集合住宅の駐車場の定価政策が自由化されてから半年が経過するが、今のところ、上海では確かに多くの集合住宅駐車場料金が大幅に値上りした。集合住宅駐車場の所有権の形式は多種多様で、ここで取り上げるのは所有権を有する開発者が不動産管理会社に委託して不動産所有者に駐車場を貸し出す場合である。丁度最近、上海テレビ局ニュース総合チャンネルの定時ニュースで、ある住民が駐車場料金の値上げ対する紛争を起こしたことが報道された。上海宝山区に所在するオアシス花園集合住宅は、地下の車庫の駐車料金が値上がりした為、住民が続々と集合住宅の路上に車を止めるようになった。地面は有限である為、住民が駐車を争って奪い合っているようで、ある不動産所有者は、勝手に路上にパーキングロックを設置したり、緊急車両通行帯を塞いだり、緑化帯まで車を止めるなどしたため、地下駐車場の駐車量は既存の駐車場の半分にしか至っていない。そのため、当該集合住宅の地下の車庫はもともと駐車場ごとに月200元、路上駐車場は月100元だったが、今年集合住宅の駐車料金定価政策が自由化されてから、開発者は所有権を有する地下の車庫の駐車場の料金を月500元まで引き上げたからである。本来地下の駐車場に駐車していた不動産所有者は駐車料金の跳ね上がりに耐えられなくなったため、次々と車両を路上に止めるようになり、上記の混乱した事態が発生した。テレビ局の新聞記者が開発者に電話でインタビューを行った際、関係者は、「500元の駐車料は高くないはずです。これは現在の各方面のコスト、周辺の事情と既存の集合住宅の事情により、確定されたのです」と真剣な表情で語った。集合住宅の駐車料政府指導価格が取り消された後、開発者の定価はもうこれ以上、法律の制限を受けないのであろうか。価格は事前に公開透明化され、価格詐欺は存在しなければ、開発者によるあらゆる値上げは合法的なのであろうか。

  価格法以外の視点からみると、独占禁止法からスタートし、定価問題に対する規制を見てみよう。独占禁止法で経営者が市場での支配的地位を濫用する行為の一つの類型は「不公正価格」である。不公正価格に該当するか否かを判断するには、この不動産管理会社の開発者が市場での支配的地位を有するか否かを審査しなければならない。まずは、この件での関連市場に対する定義を決めなければならない。独占禁止法の執行事件でよく用いられているのは、関連商品市場及び関連地域市場である。関連商品市場を考慮する時、国際通用の「SSNIP」と国務院独占禁止委員会の「関連市場の画定についての指針」に基づき、代替法を用いて分析するならば、地下車庫駐車場と地面の画定で利用できるようになる駐車場は商品市場を構成することができると導くことは難しいことではない。ここで肝心なのは、関連地域市場の画定である。「関連市場の画定についての指針」は関連地域市場を「需要者が比較的緊密な代替関係のある商品を獲得する地理区域である」と画定している。代替角度から分析すると、集合住宅の地下駐車場が値上がりしてから、本来地下車庫に駐車していた不動産所有者たちは基本的に車を集合住宅以外の場所に駐車せずに、地上及び地上緑化帯に止めるようになっている。集合住宅の位置、及び不動産所有者の習慣からみると、集合住宅の周囲には一晩駐車できる合法的公共駐車場はない(路上駐車は違法であるため、関連市場のひとつとして考えるべきではない)。居住地に駐車している不動産所有者たちは一般的に駐車後十分以上歩いて家に着くような駐車場を選ばない。そのため、本件でオアシス花園集合住宅内の地下と路上駐車場は関連市場を構成することができる。

 支配的地位を認定する問題については、上海集合住宅の一般事情により、路上駐車場は不動産所有者全員に共有されていると想定する。インタビューを受けた集合住宅管理会社の管理者が説明した通り、「集合住宅の駐車場は地下にあって、路上の駐車場自体は有限である」。要するに、開発者が所有権を有する地下駐車場は集合住宅駐車場の半分以上を占め、開発者は集合住宅駐車場という関連市場に支配的地位を持っていると推定できる。独占禁止法第18条の各考察要素によると、本件で開発者の市場での支配的地位を導くのも困難ではない。

市場での支配的地位を有する開発者は地下駐車場政策を制定する時、不公正な高価に当たると独占禁止法第19条第1項第1号の規定に違反する疑いがあるという規定を定めた。国家発展改革委員会の定めた「価格独占禁止規定」は市場支配的地位を有する経営者が不公正な高価で商品を販売するパターンを具体化した。それによると、①販売価格は、他の事業者の同種商品の価格に比べ著しく高いか否か、②コストが安定している場合、高価格又は低価格は通常範囲内であるか否か、③商品価格の上昇幅がコスト上昇幅より著しく高いか否か、④考慮すべき他の関連要素。発展改革委員会が集合住宅駐車場徴収指導価を自由化してから、開発者の地下駐車場を貸し出すコストは顕著に上昇してなかった。2015年まで上海外環の集合住宅駐車場料は、路上駐車場が毎月100元から150元まで、地下駐車場が一般的300元を上回らなかった。オアシス花園集合住宅の開発者は地下駐車場の値段を200元から500元まで値上げしてきて、まるまる150%も増えた。多くの不動産所有者は地価駐車場賃金の値上がりに耐えられないため、地上に駐車することにし、駐車場以外の場所及び緑化帯は車で満ちてしまった。それと同時に、当該集合住宅3キロ内の幾つかの質が比較的に高い住宅の地下駐車場料も毎月300元以下で維持されている。今回開発者の値上げから、消費者の福祉がひどく搾取さられ、間接的に集合住宅駐車秩序を混乱させられたことがわかる。不当に高価で商品又はサービスを提供することを認定することができる。

価格に関する独占行為を取り締る法執行機構は発展改革委員会であり、不動産所有者たちは発展改革委員会へ告発したり、告訴したりして、発展改革委員会に独占禁止法に基づいて開発者に対して調査を行わせることができる。以前、独占禁止法を言及する度に、大型企業、業界内のリーダー企業或いは公共事業機構を規制し、集合住宅の駐車場といった些細なこととは関係ないと思われた。実のところ、独占禁止法の機能は消費者福祉保護であるが、その狙いは消費者権益保護法と相違している。発展改革委員会が政府指導価格を取り消してから、開発者は確に勝手に値上げすることはできなくなった。これは価格法から観察するだけではなく、独占禁止法で規制することもできるのである。

 


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